性病の一種である梅毒の感染経路と治療法は?

梅毒は、コロンブス交換によってヨーロッパ大陸に蔓延したとも言われている感染症であり、エイズと同様に感染症法に基づいて感染者の診断情報を7日間以内に届出が必要な5類感染症に分類されている性病とされています。梅毒は、真正細菌スピロヘータの一種とされる梅毒トレポネーマに感染する事で発症する性病であり、男性の感染者数は女性の感染者の約4倍とされ、2017年は感染者数が4,000人を大きく上回ると予測されています。

梅毒は、病原菌とされる梅毒トレポネーマが乾燥した環境や酸素の多い体外の環境では生存する事が出来ないので感染者の粘膜や皮膚と直接接触する性行為が最も感染リスクの高い感染経路とされ、性行為の中でも肛門を使った性行為の感染リスクが高いとされています。梅毒の感染経路は、性行為以外にも母子感染や従来多く引き起こされていた輸血による感染、口腔内に病変のある患者とのキスなどの感染経路もある性病です。

梅毒は、3週間~6週間の潜伏期間を経て発症し、症状によってI期~IV期に分類されている性病です。I期は、初期硬結や硬性下疳が男性の陰茎や唇、女性の外部生殖器や唇に現れ、II期は発熱や全身の倦怠感、関節痛などの全身症状に加え、バラ疹やリンパ節の腫れ、泌尿器系や中枢神経系の障害などの症状が現れますが、I期とII期共に治療を受ける事無く数週間から数カ月で症状が自然消失する潜伏梅毒期に突入してしまいます。感染者は、潜伏梅毒期に突入してしまう事で自然治癒したと勘違いしてしまい病状をIII期まで悪化させてしまう事が多く、感染した状態にある事に気付かず性行為を重ね感染を拡大させてしまう危険性が高いので、違和感を感じたら性病専門の医療機関の診断と検査を受診する必要があります。

梅毒は、感染から3週間程度の潜伏期間を経て発症するので感染から1カ月以内の梅毒血清反応検査は血清反応が出ないケースがあるので、専門医を受診する場合には初期硬結や硬性下疳などの症状を自覚するか、感染から1カ月以上経過してからの方が確実とされ、感染が確認された場合には抗生物質を投与するだけで治療する事が出来ます。

梅毒の治療法と予防法

梅毒は、抗生物質ペニシリンが開発されるまで不治の病とされて来ましたが、アンピシリンなどの抗生物質を服用する事で治療する事が出来ます。現在では、I期の感染者は2週間~4週間、II期の感染者には4週間~2カ月、III期以降の感染者は2カ月~3カ月程度継続服用しますが、梅毒に感染中はエイズを発症させてしまうHIVにも感染しやすくなるので抗生物質を服用するだけでなく、専門医の診断と検査を定期的に受診する必要があります。

アンピシリンは、細胞壁の合成を阻害するβ-ラクタム系抗生物質に分類される医薬品であり、梅毒トレポネーマの浸透圧の高い細胞壁の合成を阻害する事で梅毒トレポネーマが破裂する溶菌を引き起こして症状を改善及び完治させます。アンピシリンは、胃酸の影響を受けやすいペンジルペニシリンにアミノ基を付加する事で梅毒トレポネーマの外膜エンベロープへの透過率や血中濃度半減期、バイオアベイラビリティなどを大きく向上させたペニシリン系の抗生物質ですが、従来のペニシリン系の抗生物質に比べて副作用が少なく安全性の高い抗生物質です。

梅毒は、重篤な状態に陥らない限り比較的簡単な治療で完治しますが、梅毒に感染する事でHIVや淋病などの性病への感染リスクが高まるので感染予防が1番重要です。梅毒は、感染者の粘膜や分泌物に直接接触する性行為が最も感染リスクが高いとされているのでコンドームの装着が1番の感染予防として奨励されていますが、近年では口を用いた性行為による口腔内への感染が問題視され、女性の生殖器に口が直接接触しない様にする極薄のフィルムシートも用いて梅毒への感染予防を行っている人も多くいます。もう一つの感染予防は、ピンポン感染を防ぐ為に性行為パートナーと共に医療機関の検査と診断を受診する事です。